Alcator C-Mod
#装置解説
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Alcator C-Mod - Wikipedia
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Alcator C-Modは、アメリカ・マサチューセッツ工科大学(MIT)プラズマ科学・融合センター(PSFC)で運用されていたトカマク型の核融合実験装置です。Alcatorシリーズは、もともとMITで高磁場トカマクの技術を進めるために開発されたもので、C-Modはその第3世代に当たります。以下に、Alcator C-Modの歴史や特徴について詳しく説明します。
1. Alcatorシリーズの始まり
Alcatorシリーズは1970年代から始まりました。名前の「Alcator」は、イタリア語で「高い圧縮」を意味する「alto compression」に由来しており、高い磁場でプラズマを閉じ込める技術がこのシリーズの特徴です。最初のAlcator A装置は1970年代に開発され、続くAlcator B装置も1980年代に運用されました。これらの装置は、磁場を高めることで小型装置でも効率的にプラズマを閉じ込められることを証明し、トカマク研究において高磁場の有効性を示しました。
2. Alcator C-Modの開発
Alcator C-Modは1990年代初頭に開発され、1993年に初点火されました。C-Modは、Alcatorシリーズの中でも最も高い磁場を実現するために設計されており、最大8テスラ(T)という極めて強力な磁場をかけることができました。これは、核融合実験装置の中でも特に高い数値であり、より高いプラズマ圧力と温度を達成するのに貢献しました。
3. Alcator C-Modの技術的特徴
Alcator C-Modは、高磁場トカマクの研究においていくつかの技術的な特色を持っています。
高磁場設計: C-Modの特徴は、最大8テスラに達する磁場で、これはプラズマをより効率的に閉じ込めるために重要な要素です。磁場が強いほど、トカマクのサイズを小さく保ちながらも、高いプラズマ密度を得ることができました。
内部のリミター設計: Alcator C-Modは、ダイバータやリミターを備えた設計で、プラズマと第一壁との相互作用をよりよく制御することができました。このリミター設計は、高密度で運転する際に重要で、プラズマ中の不純物のコントロールや冷却機構の役割を果たします。
モルテンメタル壁: Alcator C-Modは、プラズマと接触する材料としてモルテンメタルを使用することで、プラズマの不純物制御や長時間運転のための冷却機構の最適化を図っています。
4. Alcator C-Modの研究成果
C-Modは、高磁場条件下での核融合研究に貢献し、多くの科学的な発見と技術的な進展をもたらしました。特に、高密度運転での閉じ込め性能の向上や、さまざまな不安定性の抑制方法の研究が進みました。また、ダイバータとリミターを使ったプラズマ周辺部の制御により、トカマクのより高効率な運転方法を模索しました。こうした研究は、後のトカマク装置や国際熱核融合実験炉(ITER)における設計や運転方法にも影響を与えました。
5. Alcator C-Modの終了とその後の影響
Alcator C-Modは、資金削減の影響で2016年に運用を終了しましたが、その研究成果は現在も評価されています。特に、C-Modでの高磁場トカマクの成功は、高磁場超電導技術の導入にも繋がり、現在MITと共同で開発が進められている高温超電導を利用した小型トカマク「SPARC」にも影響を与えています。SPARCは、Alcator C-Modでの高磁場技術を発展させたもので、商用核融合炉の実現を目指しています。
まとめ
Alcator C-Modは、トカマク型核融合装置における高磁場運転の技術と可能性を示し、次世代核融合炉設計に多大な影響を与えた装置です。高密度かつ高磁場でのプラズマ閉じ込め技術を追求した成果は、今後の核融合研究と実用化に向けた大きな一歩となりました。
トロイダル磁場8Tはやべーな
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ITERは11.8T
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